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サステナブル制作現場

トロントで学んだ北米の番組制作最前線 サステナブル・プロダクションとは?

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番組やコンテンツを制作しているNHKエンタープライズでは、制作現場における脱炭素に取り組み始めています。欧州や北米では環境に配慮したコンテンツ制作のプロセスを「サステナブル・プロダクション」と呼び、コンテンツ制作時の各段階でのCO₂排出量を計測し、その上でアクションプランを立てて排出量削減に努め、最終的にはオフセットを通してネットゼロにすることに業界を挙げて取り組んでいます。そこでこのサステナブル・プロダクションの各プロセスにおけるベストプラクティスを実際に体験し、それを支える映像制作業界のエコシステムがどのように成り立っているかを知るために、カナダのサステナブル・プロダクションのコンサル会社と共同でNHKグループ向けの学習プログラムを開発し、2023年11月、トロントで3週間、及び日本で1週間の合計4週間にわたる研修を実施しました。

企画立案から制作完了までのCO₂排出量を見直して、改善

研修を実施したカナダのトロントでは映画の撮影の誘致に力を入れており、ハリウッドの映画会社やNetflixなどの世界中の映画会社が多数の作品を撮影しており、それを支えるスタジオ、機器レンタル、大道具・小道具・衣装、廃棄物リサイクルなどの様々なベンダーによるサステナブル・プロダクションのためのエコシステムが確立されています。またNHKに近い立ち位置にいて、サステナブル・プロダクションに熱心に取り組んで居る公共放送のCBC/Radio Canadaの本社もあります。これらが研修の舞台をトロントに決めた大きな要素です。

研修にはNHK、NHKエンタープライズ、NHKグローバルメディア、NHKアートから6名が参加し、スタジオやベンダーへの訪問、制作会社へのヒアリングなどを含む濃密な3週間となりました。

番組制作時のCO₂排出量の機会はどこにあるのか、またその排出量を計測するためのツールであるCarbon Calculatorなどについての座学にはじまり、CBC/Radio CanadaやCorus Entertainment社などの制作会社へのヒアリング、Telefilm Canada、Film OntarioなどのフィルムコミッションによるプレゼンやQ&A、バーチャル・プロダクション・スタジオやNetflixのセット建設現場、撮影機器レンタル会社などへの訪問を通して、業界全体で脱炭素に取り組んでいる状況をつぶさに目撃し、学ぶことができました。

またトロントから帰国後、カナダから講師を日本に招き、日本の制作現場を見て貰うことで、北米の制作手法と比較して日本でもすでにできていること、まだ足りないことなどが明白になってきました。

こうした研修プロセスで学んだことをまとめ、今後のNHKグループでの取り組みのための一助となることを願って研修参加者たちが執筆したのが「わたしたちのグリーンブック」です。

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左がフードバンク 右が衣服ボックス

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